気がつけば愛でした
ビクッとする高柳のその熱さに思わず目を見開く。
こんなんで仕事をしていたのか。静奈は、高柳の様子に気がつかなかった自分に腹が立ち、それを黙って見せようとしなかった高柳に悲しくなった。
「なんで黙ってたんですか!?」
「ちょっと疲れが出ただけだから。大丈夫だ。会社に戻るぞ。」
戻ったらまた仕事を続ける気だろう。
そんな高柳の声を無視して静奈は会社に電話をした。
社長に今日の報告をするとともに、直帰の許可を貰う。
『どうかしたか?』
「高柳さん、熱があるので。」
静奈ははっきり社長に伝えた。
隣で高柳が驚いたように身を起こす。
「橘!」
高柳は静奈の携帯を取り上げようと覆い被さるが、静奈はすぐに社長に挨拶をして通話を切った。
「お前、余計なこと言うなって!」
携帯を握り締める静奈の手首を掴んで、イラついたように言葉を強める。
しかし熱のせいか、その目は潤んでいて苦しげだ。
「駄目です、高柳さん。送ります。」
静奈は落ち着いた、静かな声で言った。
こんな状態でこれ以上、仕事はさせられない。
真っ直ぐな静奈の目に、しばらく睨んでいた高柳も諦めたように座り直した。