気がつけば愛でした


その様子に慌てて高柳の腕を掴む。が、ゆったりした動作でその手を払われてしまった。



「大丈夫だ。」



そう短く呟き、身体を起こして体勢を整える。

するとすぐに雨宮社長が入って来た。



「すまなかったね」

「いえ。こちらこそお忙しいところ申し訳ありません。」



さっきまでの表情とは打って変わって、爽やかな笑顔を見せている。

しかし。

高柳さん…。腕が熱かった…。



「では本日は本当にありがとうございました。」


高柳が立ち上がって社長に挨拶をする。静奈も慌てて一緒に挨拶をした。

ご機嫌な雨宮社長と次回の約束をし、会社を出て行った。


スタスタと駐車場へ向かう高柳を急いで追いかける。


高柳は無言で車に乗り込み、グィとネクタイを緩め、その背もたれに身体を深く預けた。

急いで運転席に乗り込んだ静奈は高柳の方へ身体を寄せる。



「高柳さん、もしかして熱あるんじゃぁ…!?」

「大したことない。」



疲れたように目を伏せる高柳の頬にソッと触れる。


< 107 / 348 >

この作品をシェア

pagetop