気がつけば愛でした
Kグループの社長は鮫島グループの買収には抵抗はあるようだった。
しかし、今後の企業展開や利益を考えると完全に突っぱねることは出来ないようだった。
Kグループも今後の経営があるのだ。
しかしこのマスコミ発表は鮫島グループの独断ではあったようだが。
しかしKグループが鮫島グループ寄りになってしまうとウチとは契約解除をせざるを得ない。
苦渋ではあるが、その方向に話をしていくしかなかった。
二時間にも及ぶ話し合いは今後の展開を見て最終判断を下すことになった。
「クッソ、あのクソジジィ!」
ロビーへ向かうエレベーターの中、社長は悔しそうに悪態をつく。
ちなみにあのクソジジィとは鮫島グループの社長のことだろう。
60代の恰幅のいい狸みたいなジジィである。
懇意にしていたKグループにウチのリークされた企画を用いて、さらに買収を持ちかけることで、ライバル会社であるウチに差をつけようとしているのだろう。
「やられたな…」
「社長…」
「こうなったら鮫島に企画リークした奴を徹底的にあぶり出してやる。情報漏洩だからな。」
静奈はチラッと貴子の顔が過ぎる。社長に言うべきか少し迷ったが、あの様子だ。無理に聞き出しても話さないだろう。
少しずつ聞き出すしかない。
多分、貴子は何かに気がついているのだから。
そんなことを思いながらロビーへ着くと、高柳がソファに座って待っていた。