気がつけば愛でした
「もしもし」
『私。ちょっといいかしら。』
「どうかしたか?」
友香の声が堅いのに気がついた。
『私今、橘さんが男の人とホテルに入って行くのを見たんだけど。』
「え…?」
『でも様子が変なのよ。酔っていたのかしら。足取りがかなりフラついていて抱えられるように入っていったの。』
「相手は?」
高柳は背中がヒンヤリした。
抱えられるようにホテルへ――……!?
静奈がかなり酔っ払ってしまうほど飲むのも珍しいが、まず親しくない人とそこまで飲むはずはない。
嫌な予感がした。
以前、足取りが覚束ないほど飲んでいた事が一度あった。
そう。高柳が呼び出されて静奈を連れて帰った時。
あの時、あそこまで飲ませたのは――………
「相手は誰だ?」
高柳の緊張した声に社長や高杉が振り返る。
『相手は知らないけど…、あぁ、でも貴方の会社のロビーで見かけた事があるわ。営業の人かしら。明るめな短髪で少し童顔な…』