気がつけば愛でした
「上村さん…なんで…」
「何で?アンタには俺の気持ちなんかわかんねぇよ。」
静奈は馬乗りになる上村を見上げる。しかし今になって酒が回ってきたのか軽く目眩がしてきたのかその顔が歪んで見える。
「会話、聞こえてたんだろ?」
上村が体を倒し、静奈に覆い被さる。必死に逃れようと顔を背けた。
そんな静奈の耳に囁くように言う。
「俺、高柳が大嫌いなんだ。アイツは俺にない物を簡単に次々と手に入れている。たった一年で営業のエースになり、上司の期待は全てアイツに向けられて、女共はみんなアイツに惚れている。アンタにわかるか?後輩に抜かれ、フォローまでされる俺の気持ちが。」
「高柳さんは…、簡単に手に入れてなんか…」
あの人は自分に厳しい。仕事の手を抜くことをしない。体調悪くたって、夜遅くなろうが自分の仕事はこなそうとする人だ。
上村とは仕事に対する姿勢が違う。