気がつけば愛でした
「社長行った?」
社長を見送ってから秘書課に戻ると、先輩の諏訪貴子がパソコンから顔を上げた。
ゆるい肩までのウェーブがフワッと揺れる。
色の白い貴子にはその髪型は甘く見え、よく似合っていた。
静奈はその揺れを見るたび、ストレートではなく、パーマをかけたくなるのだ。
「ハイ。高杉さんと行かれましたよ。」
「高杉さんが同行したってことは会議ってあのエロ専務がいるとこ?」
「はい。」
静奈は貴子の嫌そうな顔に苦笑する。
ひとり取引先で困ったセクハラエロ専務がいて、貴子も静奈も軽くだがその被害にあっていた。なので社長はその専務に会うときは必ず男性秘書の高杉を同行させるのだ。