気がつけば愛でした



「ここの料理、美味しいのよ」

「はい。とても美味しいですね。」



高級ホテルというだけあってレストランの味も絶品だった。


当たり障りのない会話をしながら食事も落ち着いた頃。


圭子は本題を口にした。


「この間のことだけど」


やはり。



と思った。


圭子が静奈を呼び出した理由はなんとなくわかっていたのだが、改めて口にだされると緊張してしまう。



「彼は…高柳さんはいつからあそこで働いているのかしら」

「もう6年くらいになるかと思います」

「大学を出てから?」

「はい。」

「そう。そんなになるのね…」



そう呟いて圭子は外を眺めた。




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