気がつけば愛でした



こんな時に限って仕事はスムーズに終わってしまうもので…。


静奈は本日何度目かわからないため息をつく。



「昨日の今に戻りたい」


そしたらこんなことは起きないよう行動出来たのに。


しかしそんなことがあり得るわけでもなく、静奈はトボトボと朝の記憶を辿りながら高柳のマンションを目指す。


会社からほど近い駅にそびえ立つそのタワーマンションは、あっという間に見えてきた。


今朝は慌てていたから良く見なかったが、改めて見上げると高柳の住むマンションは高級だった。


「凄っ…」



都心のこんな高級マンション…いくら営業部エースといったって高柳はそれほど高給とりとは思えない。

役職が付いているならまだしも、それもない一営業なのに。それにまだ歳だって28歳くらいだったはずだ。

そんな若手がこんな所住めるのか?


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