棘姫
普通の女の子にはあって、私は失ってしまったモノ。
それは――‐
卵巣。
今から丁度2年前の秋。
私は14歳で"卵巣ガン"になった。
女性なら年齢を問わず発生する病気だけど、この若さでなる人も珍しい。
と医者は驚いていた。
けど、一番驚いたのは
私自身。
ガンという言葉はテレビで聞いたことはあったけど、まさか自分がなってしまうなんて。
『治るんですか…?』
動揺しながらも、震える声で聞いたお母さんに対し
『残念ながら、摘出手術を行う必要があります』
医者は冷静さを失わなかった。
検査の結果、私の腫瘍は皮肉にも"悪性"であることが判明。
手術をして両卵巣を摘出した。