【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
えっ?
と振り返るよりも先に、“誰か”が大雅さんの胸ぐらを掴む。
「――…っ……」
…そこに現れたその人は、
遠い地へと行ってしまったはずの龍輝さんに間違いなかった。
「…大雅、さっきのなんだよ」
「あんな風に言えば、すぐ帰ってくるかなぁと思って」
「……はぁ…」
深い深いため息と共に、掴んでいた手を離す。
それから龍輝さんは私を見て…――、
「…水くれ」
――…それだけを言い、壁に寄りかかったと思ったらそのままズルズルと座り込んだ。
「酒飲んでるのに全力疾走するからだよ?」
「…そうさせたのはお前だろ」
「タクシー使えばよかったじゃん」
相変わらずけらけら笑う大雅さんに、龍輝さんはあからさまに嫌な顔をした。
「真由のこと以外は頭に無かった。
他のことを考える余裕なんて無かったんだ」
ドキッ....
…龍輝さんが、真っ直ぐに私を見る。
その瞳は悲しそうで切なくて、辛そうでどこか苦しそう。
そんな顔のまま、私に言う。
「…水、3秒以内にプリーズ」
「………」
…少なくとも「辛そうで苦しそう」なのは、飲酒後の全力疾走のせいらしい。