君と、秘密の神隠し
「―――――――・・・?!」
なにか弘樹が叫んでいるようだったけど、私は意識を手放した。
夢を見た。
夢を見たのは久しぶりだったと思う。
決して怖い夢じゃない。
すごく穏やかな夢。
目を開けると、そこは光に満ちた世界だった。
草原が広がり、名もわからない小さな花がたくさん咲いている。
太陽の光がサンサンと草の緑に艶を与えている。
私は、穏やかな気持ちを持ったまま起き上がった。
身の軽さに驚いて目線を下げると、白いワンピースを着ていた。
夢だし、別に格好が変わってても変じゃないか。
そう思いながら足を進めると、地面が綿菓子のように柔らかくて思わず短い悲鳴をあげてしまう。
「嘘・・・、雲の、上?」
草を掻き分けると、わずかに白いものが見えた。
間違いない、雲の上だ。
落ちないなんてびっくりだけど、夢だし。
「凄い・・・」
ため息交じりにそう呟けば、どこからかクスリと、小鳥のような、弾んだ笑い声が聞こえた。