君と、秘密の神隠し




そんな意地悪気な声がした瞬間、私の唇に暖かい何かが触れた。
目を見開く前に、それはすぐに離れた。



「まさか自分がこんなことを言おうとしてるなんてありえないけど、この薔薇みたいに、美しいものには棘があるって、よく言うでしょ?」



「・・・・・・」


さっきの現実が信じられなくて、ぽかんと口を開けたまま彼の声を必死に拾う。



なになになになに、一体私の身に何が起こったんだ。



動揺する私を置いて、彼は蕾を一本摘んだ。
そして、信じられない光景を垣間見ることになる。



「・・・え?」


一瞬にして、蕾だった薔薇が花開いたのだ。
美しい真紅の薔薇。


あまりに驚いて言葉にならない。
どういことなの本当に。
ありえないことが次々に起こって、私が付いていけなくなってるよ。



「この薔薇の花弁が散った時、迎えにいく」



そっと、彼が私の耳に薔薇をかけると、またまぶたが重くなる。
まるでこっちが現実みたい。



黄金の瞳を細めると、彼は最後に何か言おうと口を開くけれど、私はそれを聞く前に意識を失ってしまった。







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