ワケあり!
「了に…なんか言った?」
翌日の教室。
車の中では聞けなかったらしく、一緒に登校した将が、席に着くなりそう言った。
「え?」
どういう意味か分からずに、聞き返す。
了に、何か異変があったのだろうか。
「あ、いや…なんか昨日から、地に足ついてないみたいで…コケるし、ぶつかるし、間違ってオレの部屋に入ってくるし」
将の言葉は、困惑に満ちていた。
それに絹は、笑ってしまいそうで困るのだ。
昨日、一人前扱いしたせいで、了の中で何か芽生えてしまったのか。
母親に似た、お姉さんのような絹――それが、少し形を変えてしまったのかもしれない。
「了くんも思春期だから、いろいろ悩みがあるんじゃないの?」
罪作りなことをしてしまったようだが、それを説明するわけにもいかなかった。
知らぬふりをするだけだ。
「そっか…」
将は、納得したようだ。
カンは悪くないが、ツメは甘い。
だから、絹は助かるのだが。
「そういえば、了くんに誕生日を聞かれたわ…将くんは、誕生日はいつなの?」
男に先に誕生日を聞かれるというのは、多少おさまりの悪いことだった。
こういうアニバーサリーは、女性の方が率先して動かないといけないのに。
彼らの誕生日を知ることで、いろいろ口実ができ、ボスが喜ぶかもしれないのだ。
資料でひととおりのプロフィールに目を通していたが、本人の口から聞いておかなければならなかった。
「オレは11月…15日」
一瞬、言葉にためらいがみられた。
ああ。
「七五三ね」
にこっと笑って指摘すると、将は顔をくしゃっと歪めた。
余り好きではないようだ。
「子供っぽくて、ヤなんだよ」
京は、7月17日。
了は、3月31日。
と、それぞれ聞いておく。
これで、なんなりと計画も立てられる。
「3月31日で了って…年度の終わりだから?」
ふと、そう思ってくすっと笑ったら、将が微妙に苦笑した。
「それ、本人に言うといやがるから…やめてやってね」
うちの親、名づけのセンス悪いんだよ。
将の言葉に、猛烈に笑いがこみ上げてしまった。
翌日の教室。
車の中では聞けなかったらしく、一緒に登校した将が、席に着くなりそう言った。
「え?」
どういう意味か分からずに、聞き返す。
了に、何か異変があったのだろうか。
「あ、いや…なんか昨日から、地に足ついてないみたいで…コケるし、ぶつかるし、間違ってオレの部屋に入ってくるし」
将の言葉は、困惑に満ちていた。
それに絹は、笑ってしまいそうで困るのだ。
昨日、一人前扱いしたせいで、了の中で何か芽生えてしまったのか。
母親に似た、お姉さんのような絹――それが、少し形を変えてしまったのかもしれない。
「了くんも思春期だから、いろいろ悩みがあるんじゃないの?」
罪作りなことをしてしまったようだが、それを説明するわけにもいかなかった。
知らぬふりをするだけだ。
「そっか…」
将は、納得したようだ。
カンは悪くないが、ツメは甘い。
だから、絹は助かるのだが。
「そういえば、了くんに誕生日を聞かれたわ…将くんは、誕生日はいつなの?」
男に先に誕生日を聞かれるというのは、多少おさまりの悪いことだった。
こういうアニバーサリーは、女性の方が率先して動かないといけないのに。
彼らの誕生日を知ることで、いろいろ口実ができ、ボスが喜ぶかもしれないのだ。
資料でひととおりのプロフィールに目を通していたが、本人の口から聞いておかなければならなかった。
「オレは11月…15日」
一瞬、言葉にためらいがみられた。
ああ。
「七五三ね」
にこっと笑って指摘すると、将は顔をくしゃっと歪めた。
余り好きではないようだ。
「子供っぽくて、ヤなんだよ」
京は、7月17日。
了は、3月31日。
と、それぞれ聞いておく。
これで、なんなりと計画も立てられる。
「3月31日で了って…年度の終わりだから?」
ふと、そう思ってくすっと笑ったら、将が微妙に苦笑した。
「それ、本人に言うといやがるから…やめてやってね」
うちの親、名づけのセンス悪いんだよ。
将の言葉に、猛烈に笑いがこみ上げてしまった。