ワケあり!
 しかし。

 将という男が、だんだん心配になってきた。

 誰にでもいい人はやめろと、行動で警告を出したにも関わらず、またこんな計画を立てているのだ。

 たまには、抜け駆けのひとつもしてみろと言いたくなる。

 隣のクラスの宮野も、相変わらず彼に絡んでくるし。

 もしかしたら、将はお友達レベルでしか、絹を認識しなくなったのだろうか。

「了くんが、二人で北海道旅行に行く計画を立てようとしてたのには…ふふ、笑ってしまったわ」

 だから。

 爆弾を放り込んでみる。

「え? 旅行!? 二人きり!? 絹さん、そ、それで…何て答えたの?」

 あわあわあわあわ。

 将は赤くなって、焦りまくった。

「おことわりしたわよ…二人きりはだめって」

 返事に、彼は腹の底からほーっと安堵の吐息をつく。

「あのマセチビめ…」

 うなる将を見ながら、絹は少し安心していた。

 まだ、大丈夫そうだ、と。

 しかし、彼の本心を知るためには、いつもこうして試さなければならないのか。

 それが、少し困りものだった。
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