ワケあり!
「天体望遠鏡って、自分でも作れるんだー。後で見せてね、絹さん」
了が、興味深そうにニコニコしてくる。
「ええ」
絹も、ニコニコになっていた。
やはりボスは、手駒をちゃんと磨いてくれる人だったのだ。
ついでとは言え、絹のために天体望遠鏡を作ってくれたのである。
この世なんて滅んでしまえ――そんな気分になる日が来なければ、きっと彼女はそれを大事にするだろう。
「お父さんと仲、いいんですねー…いいなぁ」
宮野が、純粋に羨ましそうだ。
お父さんじゃない、と言うと説明しなければならないので面倒だ。
どうせ、チョウおよび三兄弟は、知って(感じて)いるだろうから、絹はもう説明せずに流そうとした。
「おとう……あ、ううん…なんでもない」
反射的に何か言いかけた了が、はっと気づいたように口をつぐんだ。
そういえば。
彼女の件を、一番詳しく知らないのは了だろう。
京には、自分自身で匂わせ、チョウと将には目の前でしゃべった。
ぽんぽん。
絹は、言うのをやめてくれた了の頭を撫でる。
よく我慢した、と。
頼むから、天然宮野を揺り起こさないで欲しかった。
誰にでも天敵はいる。
絹にとってのそれは、どうも本当に人のいいお嬢様、ということになるか。
簡単に傷つけたり、摘み取ったりできそうなのが、厄介だ。
あまり分かりやすく絶望に突き落とすと、世をはかなんでしまいそうで。
「絹…」
反対側から呼ばれ、彼女は視線をそっちに動かした。
10人乗りとは言え、そんなに余裕はないので、ちょっと京よりに顔を動かすだけで、すぐそこに彼の顔がある。
そのまま、京と話をしていたら。
「絹さんとお兄さんって…」
天然宮野が、ぽろりという。
「すごくお似合い…もしかして、付き合ってたりします?」
絹は、眉間を押さえていた。
この――アマ。
一生懸命、バランスを維持しようとしている絹に、大量の石を積み重ねる真似をしてくださったのだ。
その質問に、答えろと? 答えろと!?
絹は、ついボスをチラ見してしまった。
了が、興味深そうにニコニコしてくる。
「ええ」
絹も、ニコニコになっていた。
やはりボスは、手駒をちゃんと磨いてくれる人だったのだ。
ついでとは言え、絹のために天体望遠鏡を作ってくれたのである。
この世なんて滅んでしまえ――そんな気分になる日が来なければ、きっと彼女はそれを大事にするだろう。
「お父さんと仲、いいんですねー…いいなぁ」
宮野が、純粋に羨ましそうだ。
お父さんじゃない、と言うと説明しなければならないので面倒だ。
どうせ、チョウおよび三兄弟は、知って(感じて)いるだろうから、絹はもう説明せずに流そうとした。
「おとう……あ、ううん…なんでもない」
反射的に何か言いかけた了が、はっと気づいたように口をつぐんだ。
そういえば。
彼女の件を、一番詳しく知らないのは了だろう。
京には、自分自身で匂わせ、チョウと将には目の前でしゃべった。
ぽんぽん。
絹は、言うのをやめてくれた了の頭を撫でる。
よく我慢した、と。
頼むから、天然宮野を揺り起こさないで欲しかった。
誰にでも天敵はいる。
絹にとってのそれは、どうも本当に人のいいお嬢様、ということになるか。
簡単に傷つけたり、摘み取ったりできそうなのが、厄介だ。
あまり分かりやすく絶望に突き落とすと、世をはかなんでしまいそうで。
「絹…」
反対側から呼ばれ、彼女は視線をそっちに動かした。
10人乗りとは言え、そんなに余裕はないので、ちょっと京よりに顔を動かすだけで、すぐそこに彼の顔がある。
そのまま、京と話をしていたら。
「絹さんとお兄さんって…」
天然宮野が、ぽろりという。
「すごくお似合い…もしかして、付き合ってたりします?」
絹は、眉間を押さえていた。
この――アマ。
一生懸命、バランスを維持しようとしている絹に、大量の石を積み重ねる真似をしてくださったのだ。
その質問に、答えろと? 答えろと!?
絹は、ついボスをチラ見してしまった。