ワケあり!
「ちょっと…来い」
京に、腕を取られた。
まだ、チョウが技術顧問の話を完全にあきらめたかどうか、言葉で確認し終わっていないというのに。
京は、彼女を部屋の外へ引っ張っていこうとするのだ。
その有無も言わせない力に、ドアの外に放り出される。
「ど、どこに行くの?」
更に、廊下を引っ張っぱられる。
絹としては、ボスが気になるので、余り遠くには行きたくなかった。
「隣…オレの部屋だ」
バタン。
大変近くて、ようございました。
しかし、隣とは壁ひとつはさんでいる。
声も姿も、完全に遮断されていた。
あの二人は、どんな話をしているのか。
「一体、何事?」
綺麗に片付けられた部屋。
掃除をしているのは、本人ではないに違いない。
「お前、この間の観測会の時から思ってたが…先生は年上の、しかも社会人だぞ。その相手に、何保護者みたいなことやってんだ」
決めるのは、先生だろうが。
京は、保護者にいちいち口を挟むな――そう言いたいのだ。
技術顧問という父親の言葉に、京も心踊ったのだろう。
それなのに、絹が横から蹴りを入れたのである。
「京さん…私は怖いの。先生は、私を引き取ってくれた大恩人よ…その人に降りかかる危険があるなんて、考えたくもないの」
この件に関して言えば、完全に京とは決別だ。
今後の付き合いにも、影響が出るかもしれない。
それでも。
絹は、ボスを守らなければならないのだ。
たとえ、ボスにそれを望まれなくても。
「だから、大げさすぎるって言ってるんだ」
大げさ?
絹は、微笑んだ。
悲しかったのだ。
「京さんの中では…そんなに先生の評価は低いのね」
あれだけの製品を、直に見ておきながら。
「私が悪者なら、あの発電機で人の体温や、周囲の温度を奪いつくすことに、応用するかもしれないのに…」
真夏に――凍死だってできる。
京に、腕を取られた。
まだ、チョウが技術顧問の話を完全にあきらめたかどうか、言葉で確認し終わっていないというのに。
京は、彼女を部屋の外へ引っ張っていこうとするのだ。
その有無も言わせない力に、ドアの外に放り出される。
「ど、どこに行くの?」
更に、廊下を引っ張っぱられる。
絹としては、ボスが気になるので、余り遠くには行きたくなかった。
「隣…オレの部屋だ」
バタン。
大変近くて、ようございました。
しかし、隣とは壁ひとつはさんでいる。
声も姿も、完全に遮断されていた。
あの二人は、どんな話をしているのか。
「一体、何事?」
綺麗に片付けられた部屋。
掃除をしているのは、本人ではないに違いない。
「お前、この間の観測会の時から思ってたが…先生は年上の、しかも社会人だぞ。その相手に、何保護者みたいなことやってんだ」
決めるのは、先生だろうが。
京は、保護者にいちいち口を挟むな――そう言いたいのだ。
技術顧問という父親の言葉に、京も心踊ったのだろう。
それなのに、絹が横から蹴りを入れたのである。
「京さん…私は怖いの。先生は、私を引き取ってくれた大恩人よ…その人に降りかかる危険があるなんて、考えたくもないの」
この件に関して言えば、完全に京とは決別だ。
今後の付き合いにも、影響が出るかもしれない。
それでも。
絹は、ボスを守らなければならないのだ。
たとえ、ボスにそれを望まれなくても。
「だから、大げさすぎるって言ってるんだ」
大げさ?
絹は、微笑んだ。
悲しかったのだ。
「京さんの中では…そんなに先生の評価は低いのね」
あれだけの製品を、直に見ておきながら。
「私が悪者なら、あの発電機で人の体温や、周囲の温度を奪いつくすことに、応用するかもしれないのに…」
真夏に――凍死だってできる。