ワケあり!
「どんなものだって、悪用できるわ…ただ、そんな人を先生に近付けたくないだけ」
絹はそうまとめたが、京に自分のダークな面を見せた気がしていた。
ボス、すみません。
京を敵に回したかもなあと、彼女は隣の部屋の雇用主に呟く。
「お前、先生のこと…好きなのか?」
しかし、京の言葉は、絹を笑いの渦にたたき込んだ。
うぷっと吹き出しそうになるのを、こらえなければならない。
「あはは…好きよ、大好き。いるかどうか分からない、神様より尊敬しているわ」
それでも笑いが抑え切れず、絹は身体を折るようにして笑ってしまう。
恋という感覚で扱われるのが、おかしくてしょうがない。
恋なんてものは、夢を見る能力が生み出すものだ。
絹にはまだ、そんな余裕などない。
仕事をこなし、ボスを守るだけだ。
「お前…そっちの顔の方が、“らしい”な。少し、悪そうだが」
京は、肩をそびやかしながら――笑った。
坊っちゃんの考えることは分からない。
母親に似た顔の女が、ダークでも構わないのだろうか。
「私は私よ…どんな顔をしていても、私」
あの醜い顔でも。
自虐的に、絹は呟く。
ただ、この兄弟は絹が醜い顔であったなら、見向きもしなかっただろう。
そこが、ボスとは違うところなのだ。
絹の中に、深く貫かれているわだかまり。
絹はそうまとめたが、京に自分のダークな面を見せた気がしていた。
ボス、すみません。
京を敵に回したかもなあと、彼女は隣の部屋の雇用主に呟く。
「お前、先生のこと…好きなのか?」
しかし、京の言葉は、絹を笑いの渦にたたき込んだ。
うぷっと吹き出しそうになるのを、こらえなければならない。
「あはは…好きよ、大好き。いるかどうか分からない、神様より尊敬しているわ」
それでも笑いが抑え切れず、絹は身体を折るようにして笑ってしまう。
恋という感覚で扱われるのが、おかしくてしょうがない。
恋なんてものは、夢を見る能力が生み出すものだ。
絹にはまだ、そんな余裕などない。
仕事をこなし、ボスを守るだけだ。
「お前…そっちの顔の方が、“らしい”な。少し、悪そうだが」
京は、肩をそびやかしながら――笑った。
坊っちゃんの考えることは分からない。
母親に似た顔の女が、ダークでも構わないのだろうか。
「私は私よ…どんな顔をしていても、私」
あの醜い顔でも。
自虐的に、絹は呟く。
ただ、この兄弟は絹が醜い顔であったなら、見向きもしなかっただろう。
そこが、ボスとは違うところなのだ。
絹の中に、深く貫かれているわだかまり。