身代わり王女に花嫁教育、始めます!
彼女の唇を貪り尽くしたい。奥深くまで自身を打ち込み、違う涙に身をよじる姿を見てみたい。本当の名前を呼び、快楽に駆け上る様を見たいのだ。


「カリムどの……あれは?」


手綱は無意識で操作していた。行き先は神のラクダが知っている。 

リーンの声にカリムが視線を向けると、ナツメヤシの木々が目に入り、近くには人影も見えた。

そばに寄ると、彼らは砂漠の部族で最も多くの巫女を抱えるエルハーム一族だ。


「お待ち申しておりました――国王……」

「王の側近カリムである。エルハームの族長だな。私をカリムと呼べ」


少数ながら神に近い部族といわれるエルハーム一族。当然ながら族長とは面識がある。

彼は驚いた顔をしながら、すぐに頭を下げた。


「わたくしは族長のアリ・モハンマド。一族の巫女が精霊の声を聞き、ここでお待ちしていたのです」


オアシスの横には一泊用の小さなテントが張られている。


「こちらは王の花嫁となる女だ。礼を尽くすように」


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