身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「おっと、大丈夫か?」


リーンが溺れそうに手足をバタバタさせているのを見て、カリムは慌てて引き上げた。


「ひ……酷い、です。こんな……こんな乱暴な……」

「あなたが強情な態度を取るからだ。私が水使いであることは、とうに知っているだろうに」


神官の地位を名乗ったことはないが、“砂漠の舟”を探し出し、リーンをオアシスまで導いたことからも明らかだろう。

そうなれば、先日、浴槽の中で彼女の身体をもてあそんだ水の力も、カリムの仕業だとわかっているはずだ。


「それとも、ここで浴室の作法を繰り返すべきだろうか?」


カリムの言葉にリーンは頬を赤く染めた。


「もう……もう、あのような真似はやめてください。あんな恥ずかしいことは」

「王にも水使いの力がある、と言ったらどうする?」


カリムの言葉にリーンはハッとして顔を上げた。その大きなブラウンの瞳が、いっぱいに見開かれている。


< 119 / 246 >

この作品をシェア

pagetop