身代わり王女に花嫁教育、始めます!
それでも迷うリーンを見て、カリムは舌打ちする。


(少し言い過ぎたか。『バスィールの王女』は余計だったな)


カリムは泉の中で手を組み、唇を動かすと掠れる声で呪文を唱えた。

途端に水面が波打ち、水が生き物のように蠢きはじめる。リーンがニ、三歩後退し、よろめくようにナツメヤシの木にもたれかかった。

その直後、水竜(スウバーン)が泉から飛び出しリーンに向かった。


「きゃあーっ!」


リーンはそのままオアシスから逃げ出そうとする。

しかし、カリムの作り上げた水竜がそれを許すはずがない。


「やめてっ! カリムどの……お願いですから」


水竜はリーンを簡単に捕らえ、泉の中央に立つカリムの前まで連れて来た。

そして、水の塊はただの水へと姿を変え、リーンはいきなり拘束を解かれて水中に沈みそうになる。


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