身代わり王女に花嫁教育、始めます!
ところが、直後に東の大国で疫病が発生し、首都に残った王族や将軍の家族たちも次々に発病。彼らは侵略どころではなくなる。

バスィールも大公も救われ、大公は東部の宮殿に戻れることに。だが、東部の町は荒れ果てていた。復興のためには大公妃の実家の援助が不可欠となり……。


「大公は離婚を取り消し、お前の母を捨てた」

「そんな、捨てただなんて!」


リーンが悲しい思いで叫ぶと、サクルはばつが悪そうに言い直す。


「それはだな……国民のために、ふたりは泣く泣く別れたのであろうな。だが、アシャは大公の子を産み、娘を連れて部族を離れた」


サクルはバスィール大公にレイラー王女の非礼を突きつけ、リーンに王女の称号を与えるように迫る。

すると、大公は『与えるまでもなく、リーンの正式な名は“シーリーン=バスィール”我が第一王女でございます』と答えた。


リーンが生まれたとき、意外にも大公妃は彼女に王女の称号を認めた。

ただし、すべて離婚中に起こったこと。自分は裏切られた妻ではない。それを証明するために。しかも、大公妃が存命中は公表しない、という条件つきだった。


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