身代わり王女に花嫁教育、始めます!

(4)愛撫

異国風のタイルで装飾を施された、円形の浴槽にリーンは足を浸す。

身体を隠すものはサクルの手ですべて剥ぎ取られ、リーンは生まれたままの姿にさせられた。


「さあ、私のもとへ。まるで女神(イラーハ)のようだ。明るい陽射しの中で目にしたいと思っていた」


そういうサクルも腰布さえ纏わず、微温湯の中からリーンに手を差し伸べる。


「よろしいのでしょうか? あの……さきほどのマルヤムどのや、アリーどのは?」

「彼らはこの建物の中には入ってこない。それと、ここには誰も寄せ付けぬよう命じてある。安心するがいい」


開放的な建物は、外から丸見えと言えなくもない。

だが木々に阻まれ、外界から遮断された世界のようだ。そして宮殿の外側は流砂の堀に囲まれている。見える位置まで近寄ることすら不可能だろう。


「でも、あの、婚儀の前に……」

「忘れたのか? お前の身体を清めなければならないことを」


サクルの言葉にリーンはハッとした。


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