身代わり王女に花嫁教育、始めます!
サクルの唇が耳たぶを掠めた。


『ムハッラム、アル=ムハッラム……』


スルリと流れ込む精霊を呼ぶ呪文。

リーンに抗うことは不可能だった。サクルに命じられるままになる。羞恥心に全身を熱くしながら、言われるまま、腰を動かした。


「あ、あ、あ……あぁっ」


もう抑えることなどできない。


『サファル、ラビーウ・ル=アウワル……』


そこまで聞こえたとき、リーンの中で大きな泡がはじけ飛ぶ。


「やぁ……サクルさ……まぁんんっ!」


リーンは背中を反らせた。全身に小刻みな痙攣が走る。

腰やひざに力が入らなくなり……次の瞬間、サクルに抱き上げられていた。


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