身代わり王女に花嫁教育、始めます!
テントは大小重なるように建てられ、迷路のような造りであった。

そこを何枚ものカーテンを潜りながら歩かされ、ひとりでは外にすら出られそうにない。


そして、シャーヒーンに案内された部屋は、リーンには広すぎるほどの個室。とはいえ、今の彼女の身分は王女。それにしては、やはり粗末な扱いなのかもしれない、と思い直す。


リーンは足に力を入れてみた。

砂の上に立っているはずなのに、足場はかなり硬い。木の板を敷き詰めているのだろう。

その上に絨毯を敷き、砂ぼこりのひとつも舞わないように作られている。部屋の隅に置かれた寝台も、随分立派な品物だ。

広さはともかく、ここが花嫁の部屋であるなら、迎える気持ちは充分にあると思えた。


(やっぱりレイラーさまに戻っていただかないと。でも、今日は疲れたわ。とりあえず時間は稼げそうだし、少し寝てもいいわよね)


リーンは花嫁のヴェールを取り、靴を脱いでベッドのほうに歩み寄る。


そのとき、ベッドの奥に吊るされたカーテンが揺れた


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