Loose-leaf*放課後の甘いキス



「葉月って、華舞踊やんの?」





「…え?」


「ほら、実行委員が毎年やるやつ!」




そういって笑うと、ファイルの表紙を私に見せた

そこにかいてあったのは




もちろん、「華舞踊」の文字で





「え…っと……」





せっかく話しかけてくれたのに

顔を上げることさえ、できなくて

私なんかには…到底向いていない係り




毎年、チアリーダーとは別に「華舞踊」というパフォーマンスがある

私は2年間見て来たけれど

一昨年も、去年も…どっちも綺麗で素敵だった



私のような人が…いちゃ、いけないのに……




「…葉月?」

「……っ!」



ハッとして目を開くと、ふいに夏川くんと目が合った




「ご、ごめんなさ…―――


「葉月なら、似合いそう!」


「……え?」




に、似合う……;;?

どういう…――――





「華舞踊、でしょ?」






とくん、と大きく心臓の音が鳴る

それが始まりだったかのように、何度も、何度も心臓が大きく跳ねる

――…夏川くんに、聞こえてしまいそうなくらい




「俺、見てるからさ!」






夏川くんの笑顔は

まるで、夏蜜柑のように甘酸っぱくって



また、きゅんっと私の心臓を奪う






< 68 / 86 >

この作品をシェア

pagetop