なみだのほし−Earth Tear Chlonicle−
「…飛べ!!」
ラグーが命じると同時に、テテムの四肢が地を離れた。躯の色と同じ、紅の翼が風に乗る。
蒼い光に浮かび上がった景色。
レネは息を呑み、ラグーは唇を噛んだ。
「…やられた…!!」
テテムの翼が羽ばたく下に、畑や木々がどこまでも青白く浮かび上がった。
その、柔らかい大地の上。
「!…こんなに…?!」
気味の悪い黒い影が、無数に走って行く…
ラグーとレネの騎乗した、テテムと並ぶように。
「狼…っ…やっぱりけ尾けられてたんだ…!」
遅すぎる襲撃。姿のない敵。
背後にいるとしか考えられなかった。目的がラグーひとりなら、なおさらだ。
羽ばたくテテムを標に、数十頭が走っている。
「、反転だ!戻れ、テテム!」
切羽詰まったラグーの命で、テテムは翼を翻した。ごく小さく弧を描き、もと来た方へと一路疾走する。
途端、眼下の狼たちも反転し、追って来た。獣の臭いが濃厚に鼻をつく。
読みが浅かった。己の不甲斐なさに拳を握りしめるラグーの肩を、小さな手が痛いほどに掴んだ。
「−駄目、戻らないで!そっちだけは駄目!!」