なみだのほし−Earth Tear Chlonicle−
「っ?!」

正気の沙汰ではない。
地上2、3メートルの超低空飛行とはいえ、高速で移動するものから飛び降りるなど。

「レネ!!」

初めてその名を呼んで振り返ると、はるか後方の彼女は、転がりながら着地したところだった。
すぐに立ち上がったところをみると、とりあえず無傷らしい。

「…仕方ない…。」

ラグーは激しく嘆息した。

「テテム、戻れ」

『……ラグー?!』

仕方なしと言うようなラグーの命令に、テテムは驚いたように羽ばたいた。
少女はますます遠ざかる。

「捨て置けば餌食になる。ここまで連れて来た俺に責任があるだろう?」

『……御意。』

再び方向を変えたテテムの背で、ラグーはもう一度溜め息をついた。
あんなわがままな子供に会ったのは初めてだ。

−そう心でつぶやいたとき。

昔、自分も誰かにそう言われたことを思い出した。


《かように手を煩わす子は初めてじゃ》


いつまでも消えないその声に、ラグーは唇を噛んだ。

何千キロと離れても、決して消えない憎しみを心に刻み付けるように。

< 37 / 45 >

この作品をシェア

pagetop