なみだのほし−Earth Tear Chlonicle−
−飛び降りたとき、レネの頭には何もなかった。
受け身を取る自信はあったけど、そのあとどうするのか、考えていなかった。
ただ、意思を示したかっただけかもしれない。

猫のように四肢で着地し、そのまま受け身で地面に二回転する。休耕地の柔らかい草原は、レネを優しく受け止めた。が。

「……やっぱ少し痛い…」

うまく受け流したものの、痣の5つや6つは避けられそうにない。

立ち上がって振り返ると、息も荒く黒い影が幾つも迫って来ていた。

「…来い。」

今度こそ餌食になったとしても、ユマには近寄らせない。



《そなたの果たすべきは楯の役目。》



頭の中で誰かの声がした。


《敵の毒牙に身を喰らわせようとも、そなたの果たすべきは護りの役。》


追い詰められた自分の頭が作り出した妄想の声なのか、いつかどこかで聞いたのか…

とにかく、もう迷いはない。
一人でも戦う。

月が照らし出す丘の上。
レネは、独特の構えで敵に向かい合った。

先頭の一頭が迫る。

5メートル、…3メートル、…2メートル…

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