なみだのほし−Earth Tear Chlonicle−


『……!!ラグー!』

不吉な空気を感じ取って、テテムが吠えた。

「どうした?!」

『今ただならぬ妖気が…あの娘のいる方です!』

再び陰り始めた月明かりの中、ラグーは地上に目を凝らした。
−小さく、レネの姿が見える。それを取り囲む狼達の姿も……

「…っ!!あいつは!!」

狼だけではない。
今少女の前に立ち塞がる、男の影…ラグーがよく知る男だった。

『グリフォール!何故ここに?!』

ラグーの脳裏に、忌まわしい記憶がよみがえって来る。

「…兄上…あなたはどこまで非道なのだ…!」

旅の途中、何度となく追っ手と戦った。
全て彼の兄の手先だった。だが、隊長クラスに、無関係の少女を襲わせるとは…

『…あのような非力な娘相手に、剣を抜くとは…!!奴の一族には慈悲も矜持もないのか?!』

地上の影がどんどん迫る。
ラグーは、背後からグリフォールの首を飛ばすつもりでいた。卑怯だろうと、勝つにはそれが一番いい。

曲刀の柄に、そっと手を掛けたときだった。


−ザウッッ

「!!」

グリフォールの剣が、レネを薙ぎ払った。
少女は短く悲鳴をあげて吹き飛んだ…。



−理性が消し飛んだ。
気付いたら叫んでいた。



「グリフォーール!!」



抜き放った剣が、細い月を弾いて、閃く…。
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