おかたづけの時間
「ごはんはどうしているの?」
「うーん。コンビニか外食、あと、実家に時々帰って食ったりとか」
晃のお父様。この人、自立するには時間がかかりそうな気がしますよ。
「勉強は?」
「あんまりしない」
「?だって成績結構いいんじゃないの?」
「俺、見たものを覚えていられるからさ」
「どういうこと?」
彼が話すには、たとえば教科書をよく見て、そのページが額に入っていくイメージを浮かべて目を閉じると、見たものを後でまるごと思い出せるのだと言う。
試験はゲームのようなものだから、ある程度は考えるが、あとは教科書に書いてあったページを頭の中で手繰り寄せればいいらしい。そうして覚えたことは、何年か経たないと忘れないそうだ。
「覚えよう、と思って覚えたらだいたい、入るんだよ。宿題は家でやるのは面倒だから学校でだいたい終わらせて帰る。家でごろごろするか釣りでもしていたいしなあ」
秀麗な美貌に似合わない、晃の、のんびりした口調に、あたしは気がつくと飲み込まれていた。もう、愛だとか恋だとか上っ面のうきうきした気持ちは吹っ飛び、彼のことをとても心配になっていた。
「うーん。コンビニか外食、あと、実家に時々帰って食ったりとか」
晃のお父様。この人、自立するには時間がかかりそうな気がしますよ。
「勉強は?」
「あんまりしない」
「?だって成績結構いいんじゃないの?」
「俺、見たものを覚えていられるからさ」
「どういうこと?」
彼が話すには、たとえば教科書をよく見て、そのページが額に入っていくイメージを浮かべて目を閉じると、見たものを後でまるごと思い出せるのだと言う。
試験はゲームのようなものだから、ある程度は考えるが、あとは教科書に書いてあったページを頭の中で手繰り寄せればいいらしい。そうして覚えたことは、何年か経たないと忘れないそうだ。
「覚えよう、と思って覚えたらだいたい、入るんだよ。宿題は家でやるのは面倒だから学校でだいたい終わらせて帰る。家でごろごろするか釣りでもしていたいしなあ」
秀麗な美貌に似合わない、晃の、のんびりした口調に、あたしは気がつくと飲み込まれていた。もう、愛だとか恋だとか上っ面のうきうきした気持ちは吹っ飛び、彼のことをとても心配になっていた。