おかたづけの時間
レッスン2。物を入れる前に動線を考えましょう。
 本棚とクローゼットを目隠しする両開きの扉が意外とくせものだった。こんなもの、無いほうがいいのだ。開けたり閉めたりするのが面倒になってやはり物を積むようになったと彼が白状したので、荷物の中に埋もれていたプラスドライバーで扉を外してしまい、庭に運びだした。そして、逆にビニールシートの上に重なっている荷物を本から運び入れる。
 レッスン3 荷物を整理して入れて行きましょう。 
本とCDをジャンル別にそろえて本棚にいれる作業を彼にしてもらう。(これからも読む可能性のない本は捨てるように厳命するのをもちろん忘れなかった)
「本の中身を見ずに、本棚に入れてね」と言う。そうしないと片付かないのだ。(本の虫の夏樹兄は、本を整理するときのこつは中身を見ないようにすることだといっていた。そうしないと本の中身に気をとられて、片付けが進まないからだ)
 あたしは服のほうにとりかかる。まず、夏物と冬物に分け、洗う物は洗濯籠に放り込む。
 彼が「捨てていい」と許可する服は遠慮なく捨てる。男物の下着など毎日洗っているあたしであり、汚れ物にたじろいだりはしない。手際よく作業をすすめてゆく。
 冬物は奥に。これから着る服は手前に。見る見るうちに部屋が整理されていった。釣りの道具も整理して収納する。かばんやリュックの類はクローゼットの中の引き出しに全部しまう。
 人が寝起きする場所がきれいになったところで、夕方になってしまった。
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