おかたづけの時間
その日曜日が、とうとうやってきた。あたしはお弁当作りをしなくてもいい日だったことを喜びながら、真っ白なリネンのワンピースに着替え、念入りに、肌を美しく見せるオークルの日焼け止めを塗って、淡い桜色のグロスを唇にのせた。爪は昨日の夜から同じ透き通る桜色に染めている。派手にならない程度にまつげに透明のマスカラを光らせ、準備万端である。
と、あたしの部屋の扉を叩く音がした。開けると、あたしの本を返しに来た夏樹だった。
「うわ。やっぱりデートか。どうりで昨日の夕飯が手抜きだと思ったら…。女ってこえー。さっきまでは髪振り乱して洗濯してたくせになあ」
「馬鹿夏樹。何よ。あたしの部屋で煙草吸わないで頂戴」
まったく、次兄にはデリカシーがない。灰皿と煙草持参で乙女の部屋に来るんじゃないわよ。
「そんな、見た目だけ頑張っても、意外と男は中身のほうも見てるからな。お前、ちゃんと男を立てるんだぞ。でもって、未成年の男なんか女に対して夢を抱いてるから、裏切らんようになあ」と夏樹はクククと喉を鳴らして笑った。わざわざからかいにきたのか。暇な奴め。
「わかってるわよ、ばかー」あたしは化粧水の瓶を投げたが、敵もさるもの。片手ではっしと掴んだ。長年、短気なあたしとつきあってきた次兄、阿吽の呼吸である。
と、あたしの部屋の扉を叩く音がした。開けると、あたしの本を返しに来た夏樹だった。
「うわ。やっぱりデートか。どうりで昨日の夕飯が手抜きだと思ったら…。女ってこえー。さっきまでは髪振り乱して洗濯してたくせになあ」
「馬鹿夏樹。何よ。あたしの部屋で煙草吸わないで頂戴」
まったく、次兄にはデリカシーがない。灰皿と煙草持参で乙女の部屋に来るんじゃないわよ。
「そんな、見た目だけ頑張っても、意外と男は中身のほうも見てるからな。お前、ちゃんと男を立てるんだぞ。でもって、未成年の男なんか女に対して夢を抱いてるから、裏切らんようになあ」と夏樹はクククと喉を鳴らして笑った。わざわざからかいにきたのか。暇な奴め。
「わかってるわよ、ばかー」あたしは化粧水の瓶を投げたが、敵もさるもの。片手ではっしと掴んだ。長年、短気なあたしとつきあってきた次兄、阿吽の呼吸である。