おかたづけの時間
そして、あたしはこの兄にだけは恋の相談に乗ってもらっているのだ。夏樹兄は知っている。この短気な性格が邪魔をして、いつも破局を迎えてしまうことを…。
口うるさい長男と、皮肉屋の次男、何考えてるかよくわからない大人しい三男の間で家事を猛烈にこなしている内に身についた、よく言えば率直、悪く言えば乱暴な言葉遣いと考えなしの言葉の数々…。身についてしまったものは簡単に取れやしない。(元々の性格だと野郎共は言うが)
でも、やっぱ乙女心としては、最初の一日ぐらい身だしなみを最高のレベルまで上げときたいじゃない。あたしのことがわからない内は、できるだけいい気持ちにさせてあげたい訳よ。
「いいから行くわよ。見てなさいよ。今度の彼はすごい上玉よ。全く手垢がついていないと見たわ。間違いなくゲットして、はやいとこ幸せをつかんじゃうからね」あたしは仁王立ちして夏樹に宣言した。
「お前、高校生なのに…お水のお姉ちゃんじゃあるまいし」と夏樹は煙と共にそんな言葉を吐き出す。
ふん、俗物で悪かったわね。男兄弟にはさまれて、実もふたも無い破廉恥な話にうち興じる長男と次男の話を聞きなが、ら家事に明け暮れて育ったあたしが、どうやったら男に対する夢を抱けるっていうのかしら?
「まあ、健闘を祈ってるよ」
と、秋雄兄は言いながら部屋を出て行った。あたしは煙草の匂いがつくといけないので足首にコロンをかけた。その水仙の香りはあたしの心を景気づけた。おう、頑張るわよ。とあたしは背筋を伸ばして鏡台の鏡に向かって笑顔を作った。
口うるさい長男と、皮肉屋の次男、何考えてるかよくわからない大人しい三男の間で家事を猛烈にこなしている内に身についた、よく言えば率直、悪く言えば乱暴な言葉遣いと考えなしの言葉の数々…。身についてしまったものは簡単に取れやしない。(元々の性格だと野郎共は言うが)
でも、やっぱ乙女心としては、最初の一日ぐらい身だしなみを最高のレベルまで上げときたいじゃない。あたしのことがわからない内は、できるだけいい気持ちにさせてあげたい訳よ。
「いいから行くわよ。見てなさいよ。今度の彼はすごい上玉よ。全く手垢がついていないと見たわ。間違いなくゲットして、はやいとこ幸せをつかんじゃうからね」あたしは仁王立ちして夏樹に宣言した。
「お前、高校生なのに…お水のお姉ちゃんじゃあるまいし」と夏樹は煙と共にそんな言葉を吐き出す。
ふん、俗物で悪かったわね。男兄弟にはさまれて、実もふたも無い破廉恥な話にうち興じる長男と次男の話を聞きなが、ら家事に明け暮れて育ったあたしが、どうやったら男に対する夢を抱けるっていうのかしら?
「まあ、健闘を祈ってるよ」
と、秋雄兄は言いながら部屋を出て行った。あたしは煙草の匂いがつくといけないので足首にコロンをかけた。その水仙の香りはあたしの心を景気づけた。おう、頑張るわよ。とあたしは背筋を伸ばして鏡台の鏡に向かって笑顔を作った。