手を出さないと、決めていたのに
喋る度に首の骨が動く。その浮いた骨を嬲る、彼氏が見える。
「いや……」
息をするだけで、肩の髪の毛が揺れる。その髪の毛を撫で、彼氏は甘く誘う。
「兄さんには関係ない?」
ティシャツの下の胸の膨らみは極上の感触。それを弄び、喜ばせ、泣かせる彼氏は笑みを見せる。
「うん」
一旦思考を停止し、少し、視線を上げた。
「……、なんか、恋愛の話とか?」
思わず目が合った。
「………」
「え、そうなの?」
「まあ……」
その一言が精一杯。
「えー、好きな人ができたの? とかいう話?」
「……好きなのはずっと前から、もう20年くらいになる」
「え、20年!?!? だって今23歳でしょ」
姉は眉を寄せて笑った。
「正確には19年」
「えー……じゃあ4歳のとき?」
「……うん」
「幼馴染なんかいたっけ……それか幼稚園の先生?」
「違う」
「ふーん、で? その人に再会したの?」
「いや……そういうわけじゃないんだけど……」
「え、ずっと片思いのまま?」
「まあ……」
「へええええ……え、でもなんか学生のときとか彼女いたよね?」
「いたけどあんまり好きじゃなかった」
どう答えようか迷いながらも、事実を述べる。
「えーーーー、意外に遊び人なんだ(笑)。けど4歳のときから好きってことはさ、なんかもう憧れの域じゃない? 想像の世界の人物みたいな」
「よく会ってるからそんなことないよ」
「あ、そうなの。ふーん、え、私の知ってる人?」
「………」
誰だか全く気付いていないことに不安を抱きながらも、姉はどんどん範囲を縮めていってしまう。
「えー、誰??」
「いや……」
息をするだけで、肩の髪の毛が揺れる。その髪の毛を撫で、彼氏は甘く誘う。
「兄さんには関係ない?」
ティシャツの下の胸の膨らみは極上の感触。それを弄び、喜ばせ、泣かせる彼氏は笑みを見せる。
「うん」
一旦思考を停止し、少し、視線を上げた。
「……、なんか、恋愛の話とか?」
思わず目が合った。
「………」
「え、そうなの?」
「まあ……」
その一言が精一杯。
「えー、好きな人ができたの? とかいう話?」
「……好きなのはずっと前から、もう20年くらいになる」
「え、20年!?!? だって今23歳でしょ」
姉は眉を寄せて笑った。
「正確には19年」
「えー……じゃあ4歳のとき?」
「……うん」
「幼馴染なんかいたっけ……それか幼稚園の先生?」
「違う」
「ふーん、で? その人に再会したの?」
「いや……そういうわけじゃないんだけど……」
「え、ずっと片思いのまま?」
「まあ……」
「へええええ……え、でもなんか学生のときとか彼女いたよね?」
「いたけどあんまり好きじゃなかった」
どう答えようか迷いながらも、事実を述べる。
「えーーーー、意外に遊び人なんだ(笑)。けど4歳のときから好きってことはさ、なんかもう憧れの域じゃない? 想像の世界の人物みたいな」
「よく会ってるからそんなことないよ」
「あ、そうなの。ふーん、え、私の知ってる人?」
「………」
誰だか全く気付いていないことに不安を抱きながらも、姉はどんどん範囲を縮めていってしまう。
「えー、誰??」