手を出さないと、決めていたのに
 何も言わない。
 その反応が悔しくて、掴んでいた手首から手を移動させ、指と指を絡めて、さらに馬乗りになった。
「えっ!! 何!?!? やめてよ!! 」
 やっと顔を真正面に向けてくれる。
「何もしないよ。反応はしてるけど」
 その柔らかい太ももに、自身を強く押し付けると、姉はどこも見ずに悲鳴のような短い声をあげた。
「ちょっともう、やめてよ……お願い」
 目を閉じたかと思うと、シーツがぬれたのが分かった。
「俺の気持ちが本当だって分かった?」
「うん……」
 静かに頷く。
「良かった」
 不意打ちで軽く唇にキスする。
 姉は目を見開いてこちらを見た。驚愕、という表情。
「好きな人とキスしたいって、当然じゃない?」
 言うだけ言うと、ようやく体をどかせ、手を離してやる。
 姉は終始俯いて、ただ着ずれを直した。
「泊まってってもいいけど、帰る?」
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