太陽の竜と闇の青年
[壱]


ルウの表情がおかしい。


汗だくになったり、逆にガタガタと震えたり、普段の無表情に戻ったり、眉をひそめたりと、コロコロと表情が変わっている。


しかも声に反応をしなくなった。


体に異変があるのかと皆思い、医者を呼んだが特に異変はないという。


いったいルウは何をしているのだろうか……?


ルウが倒れて丁度7ヶ月になった。


外では蝉が忙しそうに鳴いている。


「今日も暑いな」


俺がルウに話かけるとルウはグッと歯を噛みしめた。


さきほどから何回もこの表情を浮かべている。


一体、何をみているのか……。


俺が外に顔を向けたとき、声がした。


「……………………壱…………………………」


俺はゆっくりと振り返った。


この部屋には、俺とルウしかいない。


そう考えると、この声は……。


「ルウ……?」


俺が呼びかけると、ルウの目がゆっくりと開いた。


よかった……。


俺はルウに抱きついた。


「よかった……」


ルウも俺の背に手を回した。


「壱がずっと呼びかけてくれてるの聞こえたよ。熱があっても来るんだもの。来なくてもいいって言ってたのに」


俺はルウの太陽の匂いを嗅いだ。


ルウの、優しい匂い。


「よかった……」


自然と声が掠れてしまう。


ルウが頬を擦ってきた。


「壱の匂いだ……」


俺は抱きしめる腕を強めた。


「ちょ、い、壱。苦しいよ」


ルウがあははは、と笑って俺に言う。


「ルウ……。ずっと待ってた……」


「うん。知ってる。ずっと声がしてた」


「不安だったんだ。ルウが死ぬんじゃないのかって」


「うん。私も不安だった。壱が私を忘れてしまったらどうしようって」


そんなことありえない。


俺がルウのことを忘れるはずがない。


「本当に、無事でよかった……」


「うん……」
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