太陽の竜と闇の青年
だが、白虎はなかなか部屋からでなかった。


「あの、我が主……」


白虎が口を開くのを俺は止めて小声で言った。


「ルウなら大丈夫だ」


白虎は俺をみるとうなずいて部屋からでていった。


振り向くとルウはベットの上に座っていて、困った顔をしていた。


「いやぁ、やっぱり察しのいい壱や白虎にはバレたのかぁ。まぁ、皆にバレなかっただけいいかな♪」


俺は小さくため息をついてルウの前へと行った。


ルウの目の前で手を振ってみせる。


「本当に視えていないのか?」


俺がそう聞くとルウは困った顔をした。


「っていっても前から視覚として情報を得ることはほとんど信用してないし。それになんとなく皆の気持ちは気配でわかる。だから、目が見えなくなった、といって、困ることはない……」


ルウが言葉を止めた。


ピタリと止めた。


そして俺を探すように手をフイッフイッと動かした。


俺が近づくと、ルウは俺の手を握った。


「まぁ、見えなくなって悲しくない、といえば嘘になるし、困ることといえば皆の顔がみれないことかな。もう壱の顔も見えないよ……」


俺はルウを抱き上げた。


ルウは嫌がるわけでもなく俺の服を握った。


「俺がルウの目になってやるから。だから大丈夫だ」


ポンポン、と背中を叩いてやるとルウはあはは、と笑って


「ありがとねー」


と言った。


丁度、ルウを降ろしたとき白虎が部屋に入ってきた。


「壱、手合わせを願いたいのだが」


白虎の手には剣がしっかりと握りしめられていた。


俺は少し驚きつつもうなずいた。


「かまわない」


すると、ルウが慌てて言った。


「私も行く!!ちょっと待ってて」


ルウはそう言って隣の部屋に行った。


白虎がそれを見て呟くように言った。


「我が主の髪がとても伸びていた」


俺はうなずく。


「あぁ。かなり伸びてるな」


そして、白虎は身じろぎをして俺をまっすぐにみた。


白虎の金目が俺をまっすぐに見据える。


「我が主の目は、視えないのか?」


俺はガリガリと後頭部をかいた。


気づいてはいると思ったけど、言ってもいいのかどうか分からなかった。
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