太陽の竜と闇の青年
しかし、


「なぜ視えなくなったんだろうか……」


壱も分からないのか、眉間をよせた。


突然見えなくなるっていうことは絶対にない。


それに、我が主はいつの間に杖を持っていたのか……。


我が主は試練、といっていた。


その試練とはいったい何のことなのか……。


そして、その試練には何があったのか……。


「調べてみる価値はありそうだな……」


俺の言葉が聞こえたのか、壱が俺をチラッと見下ろした。


俺は成長期を迎え、身長がかなり高くなったのだが、それでも壱の身長には勝てない。


これでもかなり伸びたのだが……。


少しだけショックを受けつつも、壱の端正な顔をみた。


ほんっとに嫌みなほど綺麗な顔立ちだな……。


と、そこに我が主が着替えて入ってきた。


その頭には先ほどの長い髪はなく、ターバンがぐるぐるに巻かれていた。


久しぶりに見る我が主は少しまぶしかった。


肌は透き通るように白く、目はパッチリと大きい。


その目は本当に視えていないのか、と疑いたくなるほど強い光を帯びていた。


なによりも、顔の骨格が綺麗だ。


そして、ほっそりとした少し丸みの帯びた体つき。


今まで会った人々の中で、これほどの綺麗な人をみたことがなかった。


いや、朱雀やジャリスも綺麗だったが、ルウには別の綺麗がある気がした。


とは言っても、我が主はきっと壱のものだから少しでも手出しをすれば壱に殺されるだろう。


ましてや、我が主にはフウが後ろに控えている。


あの薄ら笑いを思い浮かべると、なぜかあの変人男、ファラリ=シャナのことが可哀想に思えてしまった。
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