太陽の竜と闇の青年

いい匂いがした。


一定のリズムで歩くその人の背中は広く心地よかった。


もぞもぞと動くとその人の顔がこちらを向いた。


バチッと視線が合う。


「お。起きたか」


私をおぶっていたのは壱だった。


間近でみる壱の顔がカッコ良すぎて顔が一瞬にして真っ赤になった。


それを隠すように背中に顔を押しつけると壱は微笑を浮かべた。


「疲れているだろう。寝ておけ」


私はちょっとだけ目をあげた。


「あの……」


私が声をかけると壱は、ん?と前をみながら言った。


「あの子たちどうなった?」


壱はクイッと顎で前をさした。


私は壱の肩から顔をだして前をみた。


そこにはマランの両腕に担がれているタタラとアカツキがいた。


「ルウの体を使ってフィンドがシャーマンを殺した」


壱の声が冷静すぎて少し身震いをしてしまった。


「そっか……」


私は、ふぅとため息をついた。


フィンドに体を乗っ取られるのもいいことではないんだと思う。


でも皆が助かったからいいや。


私の瞼が閉じようとしたときドカーーーーーン!という爆発音が聞こえた。


「っな!!」


私たちは驚いて町の中心にあった塔をみた。


しかし、マランはそんなこと気にせずにスタスタと歩いて行く。


「マラン!行かなくてもいいの?」


フウが驚いた顔でマランに聞くと、マランは首をコキコキとならした。


「あぁ。これは幻聴だ。本当は何も起きていない。その証拠にホラ、みてみろよ。塔からはな~んにも起きていないだろ?」


マランの言うとおり、塔をみてみると何も起きていなかった。


「でも、幻聴って……そんな…………」


そんなことあるのかな……。


私の思いを感じ取ったのかマランがニカッと笑った。


「まぁその話はまた家に帰ってするとしよう。こんなところで突っ立っていたって何もないし大雨だ。風邪でもひいてみろ。俺がサンとハランに怒られちまう」


狸親父と母上の名前がでてきたことが少し嬉しくて笑ってしまった。
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