太陽の竜と闇の青年
「そーいえば俺お前の名前しらねぇな」


マランがくるりとこちらを振り向いて壱に言った。


確かにまだ自己紹介も何もしていなかった。


……なのにふつうに話してたってダメじゃん。


「あぁ。遅れてすまない。俺は和国の第一王子でもあり暗殺者でもある」


暗殺者、と聞いた瞬間マランの顔がひきつった。


「ま、まさかお前、また俺を捕まえに来たのかっ!」


……また?


「壱ってマランに会ったことあるの?」


私が不思議に思って壱に聞くと、壱もよくわからないのか首を傾げた。


「いや、俺はマランに会ったことは一度もないんだが」


しかしマランはギャーギャー喚いていた。


「俺はもう二度と捕まらないぞ!!お前なんかに!お前もハランに似ているから苛ついていたんだ!鎖国なんかしやがって!!おかげで入れなくなっただろうが!!」


私たちは首を傾げた。


はてさて、マランは誰のこと言っているのだろうか?


「マ、マラン!ちょっと落ち着いてよ!!マランは誰のことを言ってるの?」


私がマランに聞くと、マランはビシッと壱を指さした。


「んなこたぁ決まっている!!空風當間だ!!!!!!」


……………………………………………………。


長い沈黙が私たちを包んだ。


最初に口を開いたのは壱だった。


「それは俺の親父だ。俺の名前は空風壱だ」


マランの顔がだんだんと歪んでいった。


「えっ、嘘だろ?え、え?」


私たちは哀れみの目でマランをみた。


「ちょ、そんな目でこっちみんなよ!恥ずかしいだろ!!でも、仕方ねぇじゃねぇか!當間とテメェが似てたんだからよ!!」


壱に八つ当たりをしても何にもならないと思う……。


現に、壱はつまらなさそうにあくびをした。
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