太陽の竜と闇の青年
「顔をあげるがよい」


王の言葉に俺たちが顔をあげた。


王と王妃はとても優しそうに笑っていた。


「無事でなによりだな」


ルウもフウもマランも皆が笑った。


俺は自分でも気づかないうちに笑っていた。


風国が平和なのもルウやフウが穏便なのも、すべてはこの二人が穏やかだからなのか……。


「ところで、そちは誰だ?」


王が俺を見つめた。


俺は小さく礼をすると、王に堂々と言った。


怒られてもかまわない。


「俺は和国の第一王子、空風壱です。以前は暗殺者という仕事をしておりました」


王が、ほぅ、と声を漏らした。


隣にいた王妃はあらあらと笑った。


「空風と申したな」


「はい」


「……當間の息子か」


「はい」


「顔をあげい」


俺がゆっくりと顔をあげると王が、はっはっは!と豪快に笑った。


俺たちが呆気にとられていると、王は笑顔で俺に言った。


「昔の當間にそっくりだな。當間は生真面目な男でな、わしと気は合っていたんだが、無口な男で……だが、話すときはよく話す不思議な男だった」


マランがポソリとつぶやいた。


「それはおまえもだろ……」


王はマランの言葉を無視して俺をまじまじとみた。


「それにしても、當間の息子にしては偉くカッコいいのう」


それにマランが言葉を紡いだ。


「當間はなぁ和国で偉いべっびんさんと結婚しやがったんだ。うらやましいなぁ……」


フウがニヤニヤしながらマランをみた。


その顔から、


「マランはサンをとられたんだよねぇ」


と言いたげなのがありありとわかった。


マランは小さく舌打ちをすると、王の目の前で堂々とおやじ座りをした。


王はそれがあたり前だというかのようにマランに話しかけた。
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