太陽の竜と闇の青年
[壱]


俺は隣でトコトコと歩いている俺よりも小さくて細い大切な存在をみつめた。


やばい……。


うれしすぎで顔が緩む。


だけどそれを我慢する。


なんつーか、これでようやく二人だけの時間を楽に手に入れることができるっつーことと、他の男にとられないか不安になることがなくなったことが一番うれしかった。


それに……。


ルウのファーストキスは俺だったってことがな。


俺はもう一度チラッとルウをみた。


ルウは過ぎ去っていく侍従たちに一言声をかけながら歩いている。


なんて可愛い姿なんだ……。


今すぐ抱きたい。


今すぐキスしたい。


そんな考えを押し殺して俺は前を向いた。


こんなに浮かれているんじゃダメだ。


今からハランとサンに挨拶をしにいくっつーのに……。


俺は自分が怒られているところを想像してしまって、苦笑いを浮かべてしまった。


扉の前にたった俺たちはごくりと唾を飲み込んだ。


「行くか」


「うん」


俺たちが決心して扉のドアを開けたとき、にこやかに待つ四人の顔があった。


「ほら、僕の言ったとおりでしょ?」


フウが俺の裾を指さした。


俺は首を傾げて自分の裾をみた。


そこにはちょこっとだけ服の裾をつまんでいるルウの手があった。


……可愛い……。


俺はかなり必死にそのニヤけを隠した。


「うむ。壱よ、そこに座りたまえ」


俺は王の言うとおりに正座して座った。


王はニッコリと笑った。


隣では王妃がそれよりももっとニコやかに笑っていた。


「うぬは我が娘の許嫁にふさわしい男らしい。我が娘が男の元へ嫁ぐのは少し寂しいが、うぬを我が娘の許嫁にしよう」


俺は深く頭を下げた。


怒られなかったことに拍子抜けだったが、結果はいいってことだ。


……牙城に言わないとな。


きっとアイツは分かっていたはずだ。


俺が暗殺者から王に戻ることを。
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