太陽の竜と闇の青年
・白虎・


マランに連れられて入ったのは、ツンッと鼻にくる刺激臭のする部屋だった。


「何だここは」


俺がマランに聞くと、マランは曖昧な笑みを浮かべた。


「あー……俺の部屋って臭いんだわ。洗っていない洗濯物の臭いとか……腐った食べ物とかの臭いが混じったのがこの部屋ってこと」


俺はすぐにきびすを返す。


しかし、ガシッとすぐに腕をつかまれた。


「離せ!俺はとても不快な場所には長時間いたくない体質だ!」


マランは喚きだした。


「お願いだ!俺だけじゃ困るんだって!いや、マジで!」


フィンドがため息をついた。


「こんな臭いところからさっさとでるためにさっさと用件をいえ」


マランはごそごそと懐を探り始め、何か紙束のようなものを取り出した。


「昨日、書斎を整理してたんだけどよ、そんときにコイツをみつけたんだ。何語なのか知らねぇけど、読めねぇ文字なんだわ。だからよ、一番頼りになりそうなお前等二人に頼んだってわけ」


放られた紙束を俺は拾った。


紙束は細い茶色の紐でしっかりと縛られていた。


だが……。


そこにはありえない文字が書かれていた。


「[私の人生。  ヒドラ]だと!?」


隣からヒョッコリと頭を出したフィンドは悲鳴に近いぐらい声を裏返した。


それほど驚いたのだ。


その紙には、竜の民にしか使えない文字が書かれていたのだ。


日記のようなもので、記録者は驚いたことにヒドラ本人だった。


俺たちはマランをみて交互に言った。


「すまんが……」


「コレ貸してくれないか?」


「絶対に返すから」


「なっ!お願いだよ!」


俺とフィンドって気があうのかもしれない。


マランは俺たちの行動に驚いていたが、一応うなずいてはくれた。


俺たちはありえないほど全力疾走で俺の部屋へと駆け込んだ。


荒い息をおさえながら、フィンドと顔をあわせた。


「どうするんだ?」


「どうするっかなぁ……」


俺たちは紙束をみた。


紙束といっても枚数は少ない。


5枚だけだった。


「とりあえず……読むしかないよな……」


フィンドが俺の顔色を恐る恐るみてきた。


俺は微笑を浮かべた。


「別に俺を怖がらなくてもいいだろ。俺は端っから読む気でいたしな」


フィンドは、ほっとため息をつくと、細い紐をはずした。

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