太陽の竜と闇の青年
一枚目の紙には……。


「道はすべての人の前にひらかれている。一つ目の道は見栄や虚栄心、憎しみや恨み、欲の深さや身勝手な自分本位、そうしたものに心を縛られている道。二つ目の道は権利意識ばかりをむやみに振り回して、まったく停滞した空虚のなかだけに身をおく道。そんな道を歩いてほしくはない。しかし世間に自分というものをあやまりなくわかってもらおうなどという期待はもたないほうがよい。そうした期待に生きたいのであったら、世間の因襲に全面的に屈服して生きるよりほかにはないのである。そんな運命は悲しいだけだ」


読み終えたあと、俺とフィンドは頭をかいた。


「こりゃぁ、アイツとフウのことを書いているな」


俺はうなずく。


「あぁ。我が主への理想の性格などを書いていますね」


次の紙を手にとった。


「俺は王者で君は紅。運命を分かつ悲しき二人だ。君を護るそのためならば俺は悪なれるだろう。そして、時代の中お前たちは宿った。祝福するのは紅の君だけ。俺は「暗黒」が下す未来を見据えて君と一つの約束を交わす。たとえ世界のすべてがお前たちを否定しようとも、お前たちの生に罪はない。強く胸を張り生きて行け。俺は罪人でお前たちはその愛し子。見えることない、悲しき運命が続いている。記録者ヒドラ」


フィンドはフッと息を吐いた。


「なかなかの達筆だな」


俺はその言葉を聞いて曖昧に笑った。


フィンドもいえない。


ヒドラが死ぬときの日記だとか、死ぬとわかったときの日記なんていうことを。


そして、送り相手はヒドラの許嫁と我が主とフウだ。


俺たちは無言で次の紙をみた。


次の紙の文字は少しだけ丸みのある文字だった。
< 555 / 824 >

この作品をシェア

pagetop