太陽の竜と闇の青年
「昔々、偉大な海ですべてを手にした海賊の血を引き「鬼の子」と呼ばれた俺を愛してくれたウイ、ルウ、フウ、ヤッカル、そして竜の民。たとえ世界のすべてが君たちを否定しようとも、俺がすべてを護るから、どうかずっと笑っていてくれ。お前たちを護るそのためならば、俺は何だってやってやる。だから忘れないでくれ……。ここに俺が生きた証を残すから……。どうか、忘れないでくれ。俺が君たちの父親だということを。記録者ヒドラ」


フィンドがゆっくりと立ち上がるのがぼんやりとみえた。


そして、フィンドが部屋から出たのと同時に、俺の目から涙がこぼれた。


俺は自分でもわからないほど泣いていた。


なぜだ?


なぜなんだ?


俺は自分自身に問いかけた。


そうか。


そうなのか。


俺はヒドラの心の広さに感激しているのか。


その心の広さは我が主にも伝えられた。


ヒドラは孤独をどれほどため込んだのだろうか?


ウイはどれほどの不安をため込んだのだろうか?


ヤッカルは?


言い出せばきりがない。


こんな世界にもヒドラのような人は一人や二人はいるんだ。


なぜ、ヒドラを殺したのか、俺には「暗黒」というものがわからなかった。


俺は涙を拭うと、立ち上がった。


もし、皆がジャリスに気持ちが変わってしまっても、俺だけが主を守ろう。


何が何でも守らなければいけない。


それが、ヒドラと俺の約束だから。


俺はガチャッと扉をあけた。
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