太陽の竜と闇の青年
そのとき、ガチャッと音がして奥から女性がコツコツとヒールの音を立てて入ってきた。


私とフウはその女性をみて眉をしかめた。


ナナだ。


「あぁ、そういえば紹介するのが遅れたな。俺の妻、アルア=ナナだ」


私たちは驚いてトオタをみた。


ナナはトオタの愛人だったっていうことは知っていた。


だけど、まさかこんな性悪女を妻にするなんてトオタらくしくない。


私たちの心がなんとなくわかったのか、トオタは苦笑いを浮かべた。


「国のことを考えると、必然的にこうすることがよかったんだ。元からナナは俺の愛人だったわけだし……」


トオタの苦笑いから目を離して、こちらに歩いてくるナナをみた。


昔とかわらない嫌な顔だ。


でも、王女の中では結構綺麗な顔立ちをしている人だと思う。


「まぁ!これはこれは、お久しぶりです。新国からの逃亡者様」


私とフウは目を眇めた。


トオタもナナを叱咤する。


「ナナ!いくら俺の妻だからといってルウとフウを侮辱するのは許さないぞ!今すぐにでも離婚を考えてやるぐらいだ」


それを聞いた瞬間、ナナの顔から血の気が引いた。


「それはやめてください!トオタ様!トオタ様をわたくしは愛しているのですから」


トオタは小さくため息をついた。


「ならば今さっきのような失言には気をつけろ」


それでもナナは私とフウが気に入らないのか眉をしかめた。


「ですが、あの時からこの二人は新国の地を踏まないと約束したはずでは……」


私とフウはあきれてものをいえなかった。


トオタもそうなのか、小さくため息をついた。


「それは誰との約束だ?母上が王妃だったときの約束だろう?今の王子は俺。つまりこの二人をどうするかの権利は俺にある。よってお前は何も口出しはできない」


ナナは、しゅんとうなだれてトオタの隣の椅子に座った。
< 567 / 824 >

この作品をシェア

pagetop