太陽の竜と闇の青年
[壱]


大広間で待たされている俺たちはとくに話すこともなく、黙っていた。


しかし、ナナだけはブツブツとつぶやいていた。


いい加減苛ついてきた俺は、思わず声を出していた。


「おい、いいたいことがあるならブツブツ言わずに俺たちに言ったらどうだ?鬱陶しくてたまらん」


ナナはハッとして顔をあげた。


「ごめんなさい。だけどルイ王子の墓はわたくしでもみられないのに、なぜあの二人がみられるのかずっと疑問に思っていたんです」


そして、禁断の言葉をナナは呟いた。


「あの二人がカイン王子を殺したというのに」


俺は自分でも分からない内にナナの首を掴んでいた。


「きゃぁ!」


ナナは恐怖に怯えた。


俺を宥めたのはテルだった。


「か、空風さん!落ち着いてください!ここでこのお方を痛めつけても、フウ君やルーちゃんが悲しむだけですよ。ルーちゃんはあなたのことをとっても優しくて頼りがいのある方とおっしゃっていました。それはルーちゃんの前だけでしかみせないのですか?ルーちゃんがいなくても優しくて頼りがいのある人こそ、本当の優しくて頼りがいのあるあなたなんじゃないでしょうか」


俺は少しだけテルをみてゆっくりと手を離した。


「……だが、俺の妻を侮辱するのは許せない」


ナナはひっと顔をゆがませた。


まぁ結構頭にきているから顔はとんでもなく冷めているんだろう。


「あ、あなたたちはあの二人の恐ろしさを知らないからそんなことが言えるのよ!!あの二人、今は少し丸くなっているかもしれないけど、昔は棘が何百本、いえ、何千本とあったのよ!!あの二人がここにきて一番はじめに書いた日記、あなたたち知っているの!?」


俺とテルは眉をひそめた。


そんなもの知っているほうがおかしい。


というか、日記だと?


そんなものマリオネットでは視なかった。


まぁその場面を視させてくれとは確かに言っていなかったが……。


俺は少しだけ気になって殺気をちょっとだけおさめた。
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