太陽の竜と闇の青年
「何って書いてあったんだ?」


ナナは少しだけ声の音量をさげた。


「[どうしても許せなくて……我が物顔で秩序を乱す連中が憎すぎて。そう、彼らはただ憎いだけなのだ。私怨と劣等感の塊に礼儀などいらない]って書いてあったのよ。まだ幼い子だっていうのに私怨とか、劣等感とかそんな言葉を知っているなんて怖すぎるわ。わたくし、その日記からすぐに手を離してしまったんですもの。トオタ様は違ったけれど……。でも、トオタ様だって少しは不気味に思ったはずだわ」


ナナは一度言葉を止めて俺たち二人をみた。


俺たちは首を傾げる。


「あなたたち二人は本当にあの子たちでいいの?もしかして誰かに脅されているの?そうだとしたらわたくしが新しい人を探してあげるわ。あんな子たちじゃなくてもいい……「俺はルウじゃないと結婚しない」


俺はナナの言葉を止めた。


最後まで言う必要はない。


何があっても俺はルウを妻にすると決めた。


たとえ俺の家族の誰かを殺してしまったとしても。


ルウは無闇に人を殺したりはしない。


何か理由がないと人を殺さない。


「そうですよ。それにフウ君が人を殺めてしまったとしてもフウ君はフウ君です。フウ君以外の何者でもないのですよ。ナナ様だってトオタ様を信じれるでしょう?それと同じことなのです。私と壱様は二人を信じているのです。たとえあの二人が人を殺め、罰を下ったとしても私と壱様はきっと最後まであの二人についていくと思いますよ。少なくとも私はそうしますから」


ニコニコと笑うテルを俺はみた。


こいつ能なしにみえるが、結構頭のきれる奴だな。


考えていることが深い。


言葉にすることが難しいことも楽に話している。


話すことが得意な奴なんだろうか……。


「竜の民は災いを呼ぶっていうわよ」


俺は小さく笑った。


「そんなのただの迷信だろ?確かにルウと一緒にいればいろいろなことにぶつかって大変だったときもあった。だが、それが旅というものなんだ。危険なことが起こると承知で俺はルウと一緒に旅にでたんだ。今更災いとかに怯えてどうすんだよ」


テルも俺の言葉にうなずく。


つまりは……テルもルウとフウと一緒にいて大変なめに合ったんだろう。
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