太陽の竜と闇の青年
☆有言☆


久しぶりに出会った壱からは血の臭いが薄れていた。


暗殺からは手を退いたというのか……。


しかし、まだ壱の目には人を殺そうとする意志が見えた。


実際、


「あの男、あいつには俺たち近づけなかったよ」


という意見を聞けた。


だが、私が一番気になっているのは久しぶりに出会った壱よりも壱の隣にいた女だった。


あの女の目の奥には闇が広がっていた。


だけど、あの女はその闇を隠すように笑っていた。


その顔をみた私はなぜか胸が締め付けられた。


きっとあの女は後々起こる自分の身がどうなるか理解しているのだろう。


そんな目をしていた。


「……あの女、死ぬのか?」


ポツリとつぶやいた。


「え?」


隣に立っていた白髪の男が聞き返してくる。


私は嘲笑気味に笑い首を振った。


「いや、何でもない」
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