太陽の竜と闇の青年
振り向いた華の目線の先には壱の少しムスッとした顔があった。


壱は私と目があうと、ゆっくりと私に近づいてきた。


その長い指で私の心臓を指す。


「俺が好きになったのは顔や体型ではない。心だ。ルウの心は誰よりも広く、誰よりも優しい。そんなところに俺は惚れたんだ」


私は自分の顔が赤くなるのが分かった。


そんな格好いい顔で真正面から言われたら照れくさくて恥ずかしいよ……。


「は、華だって!!」


「華とルウでは違うんだよ」


華の言葉を遮って壱は私をまっすぐにみた。


「華とルウではぜんぜん違う。生きてきた世界も、視てきた世界も」


壱は知っている。


私が視てきた世界を。


人間のどん欲を……。


「華だって世界というものは視てきたよ!!何が違うの?華とこの人の違いが、華にはまったく分からない!」


壱はため息をつくと、私の頭に手をおいた。


「分からなくていいんだよ」


けど、そのとき私の心臓が跳ね上がった。


……これは何……?


フィンドが暴走しているの?


だけど、どこにもフィンドが怒る場所はなかったはず。


「フィ……ンド……」


私は息苦しい中でフィンドの名前を呼んだ。


壱が私の異常に気づいたのか、私を支えてくれた。


私は壱にぐったりともたれ掛かる。


”鬼ではない。だが、鬼の力が何者かによって押さえつけられている ”


フィンドが焦った声をだした。


私は少しだけ驚いて自分の心臓をつかんだ。


”どういうこと? ”


”つまり、何者かが、鬼を押さえつけているってことだ。例えば……その二人のうち、どちらかがとかな ”


そのとき、世界が真っ赤な色に変わった。
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